2016年11 月18 日(金)に第187回 月例会が開催されました。
11月の月例会では、国立国際医療研究センターに勤務されている高校49期の忽那賢志(くつな さとし)様に「日本を取り巻く感染症」というテーマでご講演いただきました。
日本を訪れる外国人旅行者は、年々増加し、今年はもうすでに2000万人を超えたと見られていますが、その一方で、「ジカ熱」や「デング熱」など様々な感染症の流入が心配されています。忽那様の専門は、こうした海外からもたらされる輸入型の感染症で、活躍の様子は、TBSの「情熱大陸」など数多のテレビ番組で紹介されています。
忽那様は、まず、代々木公園を中心に感染者が相次いだ「デング熱」や、リオ五輪で感染対策が課題となった「ジカ熱」などを診察されたときの様子をお話しされ、「ジカ熱」では、皮膚などが赤くなる症状が出ることを患者の方の写真を使いながら説明されていました。また、致死率が非常に高い「エボラ出血熱」の対策については、医療用の防護服を安全に着用することなど、関係する医療従事者が、日ごろから訓練を積んでいるということでした。また、抗生物質などの抗菌剤に対する抵抗性が著しく高くなった細菌、耐性菌についてもお話をされ、風邪の治療などで抗生物質を求める患者の方も多いが、多用すると将来は使える抗生物質がなくなってしまう恐れがあることを、ご家族も出演して作成されたPRビデオを使ってわかりやすく説明していただきました。
講演終了後、出席者から感染症の水際対策を万全にする方法はないのかという質問がありましたが、忽那様は、発症までの潜伏期間があるため、水際対策で防御するのは難しく、むしろ入り込んだあとに、それを広げない対策をしっかりすることが大切だと強調されていました。
また、ダニ採集がご趣味だそうで、個人的に各地でダニを集めて、病原菌などを持っていないか調べることも取り組まれているそうです。会場には、高校49期の方があわせて5人顔をそろえ、懇親会の場で旧交を温めていました。