関東明陵同窓会

　新年度が始まりました。ふつうミュージシャンにとってはあまり意味のない「新年度」ですが、音楽大学の教員をしているととても大きな区切りとなります。この時期のキャンパスは、大学生活をスタートした新入生の興奮と新入生を迎えた在校生の興奮が合わさって、むせ返るような高揚感に包まれます。日に三度は息を切らした新入生に「○○番教室はどこですか！？」と聞かれます。もうしばらくすると気安く話しかけていい人とそうじゃない人の区別がついてくるのですが、笑（いつまでも気安く話しかけていいんだけど）。来月の後半あたりには新入生も大学における立ち回りが良い意味でも悪い意味でも洗練されてきて、キャンパスは落ち着いた空気を取り戻すはずです。

　ミュージシャンにとっての「区切り」は、大きめの公演とかツアーとかレコーディングとか自分で設定したイベントであって、一つ一つ乗り越えながらどこまで行っても始まりも終わりもなく延々と続く感じです。それが好きでやってるんですからこれほど幸せな話はないわけですけれども、その傍らに年度で区切られた大学生活があるのは頭の中に別チャンネルを持っているようなもので、僕にとっては心のバランスを維持するのに有効だと感じます。そうそう、気がつけば今年で教員生活二十年目です。近年は、かつての教え子たちと今度は同僚としてキャンパスですれ違うことも多くなってきました。勢いのある若者たちと一緒になって音楽で汗を流せるのは大変ありがたいことです。

今年もベランダのノフジ（野生の藤）が元気いっぱいに蔓を伸ば

し始めました。この藤は十年前に気仙沼の知り合いからゆずりう

けた10cmにも満たない枯れのような苗から育てたもの。津波を

被っても流されずに残っていた苗です。

 

4月19日　谷口英治

 

ヨーロッパの４ビートジャズを牽引する名ギタリストAlessio Menconiとのライブがいよいよ今週金曜日に迫ってまいりました。コロナで行き来が途絶え、三年半ぶり（三度目）の共演になります。はるばるの来日なので、できるだけたくさんのお客さんの前で弾かせてあげたいと思っています。どうぞお誘い合わせの上！よろしくお願いいたします。