平成31年2月15日(金)の月例会は、本校第29期卒業生の七代目柳亭燕路師匠をお招きしての、毎年恒例『新春寄席』でした。
会場は例月通りの新橋亭新館なのですが、いつもの四階ではなく、座敷になっている八階で行われました。金屏風の前にしつらえた高座に燕路師匠をお迎えして、二席の落語をご披露いただきました。
一席目は演目名『君よモーツァルトを聞け』という新作落語。魚屋の子供が夜中に急病になりましたが、往診してくれた医者のおかげでよくなりました。魚屋は医者の自宅にお礼に行きましたが、その際、クラシック好きの医者からモーツァルトの話を聞いたために、魚屋の家庭で一悶着起きる…というお噺です。
この作品はテレビ等でお馴染みの元・桂三枝、現・桂文枝師匠の作で、燕路師匠の兄弟子が文枝師匠から譲り受けたものを、更に燕路師匠が譲り受けたとのことであり、古典とはまた違った味わいのあるテンポのいいお噺でした。
二席目は古典落語で、演目名『火事息子』。ある日、江戸の町でいつものように火事が起きました。火元近くに伊勢屋という大店の質屋があり、その伊勢屋の主人から、蔵に目塗り(火が入らないように、蔵の入り口や窓の合わせ目に泥などを塗ること)をするよう言いつけられた番頭が、高所恐怖症の上に、不器用とあって四苦八苦。その時、見かねて手伝ってくれた火消しがいたのですが、その火消しは、以前、火消しになりたくて家出をし、そのまま勘当された伊勢屋の後取り息子だった…というストーリーで進んでいくお噺でした。
家出した息子と勘当した父親。お互いの立場と建前を守りながらも、垣間見える親子の情愛が感動を呼ぶ…とても粋なお噺でした。
会場の隅々まで響き渡る声量と、豊かな表現力で、聞いているものを作品の世界にいざなってくださった燕路師匠の芸は、さすがプロと呼ぶにふさわしい素晴らしいものでした。
その後の宴席でも、燕路師匠は各テーブルを回ってくださったのですが、燕路師匠の気さくで、親しみやすいお人柄も相まって、なごやかな雰囲気で、楽しい時間が過ぎていきました。早くも来年の『新春寄席』が待ち遠しくなるような、大きな盛り上がりを見せた月例会でした。
高38期下川