2017年3月17日(金)に第190回月例会が開催されました。
今回は国立研究開発法人国立環境研究所・理事の高校29期石飛博之様に
国立環境研究所が行っている災害環境研究についてご講演いただきました。
国立環境研究所は発足当時は「国立公害研究所」という名称で、1990年に
現在の名称に改称されたそうです。
これは、公害から地球環境へと世の中の流れから来たそうです。
現在は災害環境研究プログラムとして次の3つの研究を実施しているそうです。
・環境回復研究
・環境創生研究
・災害環境マネジメント研究
今回の講演では、福島の方々へ説明した研究内容を私たちにも説明していただきました。
内容としては、福島原発事故の環境への影響に関するものです。
まずは、放射能、放射線、放射性物質のキーワードの説明があり、放射性物質・セシウム137の半減期は30年で、無くなるまではとてつもなく長い年月がかかるということでした。
現在の環境はどうかというと、森林では放射性物質が土壌に吸収されにくく、表層に溜まっており、きのこや山菜などを取ることはできないそうです。
山間部では、雨が降ると表層部の土壌は一緒に流され、ダムへと向かい、ダムの湖底に一旦溜まります。
放射性物質も一緒に湖底に溜まることで、下流域への影響が減少されます。
ただ、この湖底の放射性物質を今後どのように処理していくかという課題があるそうです。
さらに、海底や湖底に溜まった放射性物質により、水生生物にも影響が出ています。
それは、食物連鎖により、放射性物質を体内に取り込み、濃度が増していくからです。
また、震災で発生した瓦礫などの焼却による環境への影響は、最新の設備を使用すれば、
ほとんど気にすることはないということです。
これらの研究から、環境回復に向けた廃棄物の減容化(容積を減らす)や環境保全を引き続き取り組んで行くということでした。
東日本大震災から6年が経過しましたが、環境に関する課題は長い時間をかけて取り組んでいかなければならないと気付かされました。
講演終わりの質問時間では、身近な環境問題に関する質問が出てきました。
今回の月例会は30人以上の方に参加いただき、皆さんの環境問題に対する関心が高いことがわかりました。
高校43期 善岡