2017年11月17日(金)に第196回 月例会が開催されました。
今月は、高校12期考古学部OBで江戸名所図会愛好家でいらっしゃる木田誼大先輩の、江戸情緒あふれる講演に始まりました。テーマは「時代物小説の舞台となった『江戸名所図会』」。長谷川雪旦の詳細な挿絵に潜める江戸街々の情報を紐解きながらのお話でした。時代物好き、歴史好き、地理好き、落語や講談、歌舞伎好きにはたまらない内容です。
『江戸名所図会』が作られた目的は、時の為政者である徳川幕府がまだまだ日本全国に知られてなかった江戸の様子を宣伝するためだそうで、街の良いところだけを紹介しています。なので影になる部分は触れていません。江戸四宿の端に置かれた刑場のことはもちろん、雑魚しか扱わなかった芝の河岸、新吉原の様子も詳細には描かれてないとのこと。つまりは、陰陽の陽を大きくクローズアップして版画にし全国に流布させたそうです。
『江戸名所図会』の挿絵は全部で662点、例えば河岸のあった日本橋の様子には、サメ、マグロ、ヒラメ等々の姿まで確認できます。それくらい詳細な情報が描かれているのですから、後世の歴史物作家が参考にしないはずありません。佐伯泰英の鎌倉河岸捕物控、池波正太郎の剣客商売、同じく鬼平犯科帳、三遊亭圓朝の乳房榎。ひとつひとつ『江戸名所図会』の挿絵と照合し、確認出来た時の喜びを熱く語ってくださいました。
あまりにも面白く、時間の押す中、終演を迎え、同じく12期の大先輩である長崎顧問の音頭で乾杯し、懇親会に移っていきました。江戸の街の話で盛り上がったのはご想像の通りです。散会後、銀座に、六本木に二次会へ繰り出された方々もいらっしゃいました。
尚、12期の皆さまは木田先輩をはじめ8名参加いただき、近況をご紹介いただきました。
高26期 伊香