関東明陵同窓会の皆さまへ
≪平成30年11月例会のご案内≫
晩秋の候、皆様におかれましてはご健勝にお過ごしのことと存じます。
11月例会は高校26期の 木部 暢子(きべ のぶこ) 様 に「ことばは文化の源」と題して講演して戴きます。
木部様は国立国語研究所教授・副所長として九州南部、奄美、沖縄地方の方言研究を中心に日本の方言を研究なさってます。つい先日もNHKeテレに、解説者として出演致しました。
どうぞお誘い合わせの上、ご来場ください。 尚、事前申込は不要です。
日時:11月16日(金)18:30開場 19:00講演開始 20:00頃 懇親会開始
場所:新橋亭新館 港区新橋2-4-2 Tel:03-3580-2211
講師: 木部 暢子(きべ のぶこ) 様
演題:「ことばは文化の源」
会費:男性5千円、女性4千円、学生3千円
《 講師からのメッセージ 》
【プロフィール】
1974 年 小倉高校卒(26 期生)。
九州大学大学大学院修士課程修了。
純真女子短期大学講師、福岡女学院短期大学講師を経て、1988 年4月より鹿児島大学法文学部助教授、1999 年教授。2006 年4月より鹿児島大学法文学部長。2010 年4月より国立国語研究所教授・副所長。
主な著書『鹿児島県のことば』(共著、明治書院、1997 年)
『西南部九州二型アクセントの研究』(勉誠出版、2000 年)
『方言の形成』(共著、岩波書店、2008 年)
『じゃっで方言なおもしとか』(岩波書店、2013 年)
『方言学入門』(共著、三省堂、2013 年)
【講演タイトル】
ことばは文化の源
【講演概要】
いま、世界中で力の弱い言語が衰退し、力の強い言語にとって替わられるという現象が起きています。アメリカの言語学者マイケル・クラウスによると、現在、世界に存在する約6000 の言語のうち、半数が100 年のうちに確実に消滅してなくなり、最悪の場合、言語の数は10 分の1、あるいは20 分の1 にまで減少するといいます。このような状況に警鐘を鳴らし、言語の多様性を守ろうと訴えたのが、2009 年のユネスコのAtlas of the World’s Languages inDanger (世界消滅危機言語地図)の発表です。
この地図では、約2500 の言語が消滅の危機にある言語として取り上げられています。その中には、日本で話されている八つの言語も含まれています。アイヌ語、八丈語、奄美語、国頭語、沖縄語、宮古語、八重山語、与那国語の八つです。しかし、消滅の危機にあるのは、この八つだけではありません。多くの方言がいま急速に衰退し、もしかしたら消滅してしまうかもしれない状況にあります。このような言語や方言をできるだけ多く記録し、後世に残すこと、できるなら消滅させずに次の世代へ引き継いでいくこと、さらに、このような活動を地域の人と一緒に行うことで、地域の活性化を進めていくことを目標として活動しています。
ところで、このような活動をしていると、よく、次のようなことばを聞きます。
– 方言がなくなるのは、時代の流れだから、残そうとしても無理だ。
– 方言で話しても通じないから、標準語で話す方がいい。
– 子どもには、方言よりも英語を教えた方がいい。
しかし、そもそもなぜ、言語や方言がこれほど多様になったのか、考えてみてください。おそらく、そこに住む人たちが毎日の生活の中で、いろいろなことをどう表現するか考え、もっとも適した表現を選んでいった、その結果が言語や方言の多様性ではないかと思います。各地には方言でしか言い表せないことがたくさんあります。たとえば、沖縄本島の西原地区には「マフックァー アチサクトゥ ティーダ ネーラチカラ ハルカイ イケー」(真夏の日中は暑いので太陽をなえさせてから畑に行きなさい)という言い方があります。ここには照りつける「ティーダ」(太陽)への恨みの気持ちは少しもありません。あるのは、「太陽の気持ちを静めてから」といった畏敬の念や、友人をなだめるような親しみの気持ちです。「日が弱くなってから」では言い表せない、「ティーダ」と沖縄の人たちとの関係が、ここには込められているのです。
言葉は文化の源です。地域の言葉を守る意味は、ここにあるのです。
ブックレット『新しい地域文化研究の可能性を求めて vol.3 ことばは文化の源』(国立国語研究所)より
以上
関東明陵同窓会
幹事長 石飛 博之
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2019年の関東明陵同窓会総会は2019年6月16日(日)11時半より
今年と同じホテル・グランドアーク半蔵門で行われます。
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